心にこびりついて忘れない言葉

弱い男の生き方

誰しも、そういう言葉を、忘れられない言葉というものを、持って生きている。何気なく発せられた言葉。きっとその言葉を発したひとは、こんなにも長く誰かの胸の中にその言葉が残っていることを想像だにしていないかもしれない。もちろん、意識して誰かの記憶に残そうと言葉を発するひともいるだろうが。

俺は何も色恋沙汰の言葉だけを言いたいわけじゃない。家族の愛の言葉だけを言いたいわけじゃない。

たわいもない言葉。なんでもない言葉。ときに写像とともに、ときに音とともに、ときに匂いとともに。いつまでも忘れられない。

 

しゃもー、月生まれの男にはたいした男がいない、十分だぞ、いろんなことがスパークしたんだよ、お前まじでダメ人間やな、やっときたか、ラーマーヤナとインド、可以、You should be assertive、Don’t be paranoia、慇懃無礼て言葉知ってるか

 

ぱっと考えただけで、これだけ出てくる。もっともっとある。自分以外にはたいした意味もなさないし、意味が分からない言葉も多い。

言葉は発せられた瞬間から力を持つ。それが単なる記号ではなく人間の思考からできているからだ。思考がエネルギーだというのはどこかで書いた。言葉は音声でなくても、生でなくてもいい。文学作品もエネルギーを持っている。

あなたにとって忘れられない言葉はなんだろうか。ロマンチックでなくても、かっこいい言葉でなくても。

そんな言葉は人を勇気づけることも落胆させることもできる。エネルギーに陽と陰があるように、言葉にもプラスに働く言葉とマイナスに働く言葉がある。プラスの言葉をストックして生きたいものだ。

 

練習が終わって、疲れた体をアスファルトに横たえていた。更衣室から温かいシャワーの湯気が匂う。ストレッチをしなければ、翌日体が痛いと分かっているが、動きたくない。オレンジ色の夕陽をひとりぼんやり見ていた。丸い太陽に、影が重なり、顔の見えないそいつが笑顔で言った。「ダウンしろよ。軽く走ろうぜ。」

 

そいつがいなくなっても、言葉は残る。言葉は力を持っている。

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