女性に振られた話③

恋愛系の話

前回の続きです。
俺は馬鹿だ。その時、サイトを非公開にするという選択もできたのだが、それは卑怯だとか、そんなことをしても結局意味がないと考えて、そのままにすることにした。

サイトを非公開にしたら、彼女から何か隠していると思われるかもしれない。いや、このサイトが自作サイトだとまだバレていないのだから大丈夫だなどと逡巡した。

しかし、ちょっと待て。俺は、自分に正直に生きることにしたのではなかったか。自分の気持ち悪さも情けなさも受け入れ、M男であることも受け入れ、それを含めて愛し合える相手を見つけるのでなかったか。もうピエロの仮面、S男の仮面、包皮を被るのをやめたのではなかったか。これまでそれで恋愛を失敗してきたのではなかったか。

このブログに変なこと書いているのも含めて自分なのだ。ならば、ブログを仮に見られても堂々としていろ。
そんな気持ちになっていた。それに、彼女は社交辞令として、俺の小説を読みたいと言っているだけかもしれない。URLを覚えたとは言ったものの、単なるからかいで、サイトを探すことも小説を探すこともない。自意識過剰になるな。彼女は俺にそんな興味などない。あの場のノリで俺をからかうために言っただけだ。そんな風に考えたということもある。それでブログはそのままにした。

ところがどっこい、翌週末の柔道の練習前に、彼女と練習場所の体育館の入り口ですれ違うと、

「この間の小説、kiss the rain 読み終わりました。」
と彼女に言われたのである。彼女の表情はと言えば、無理やり作ったような固い笑顔であった。

俺はそれでもう頭の中が混乱した。小説1作すでに読んだ?ということは、このサイトの他のページも見たということだよな。M男だとか、エロ系の話だとか、そんなものも全部見られてしまった。そして、それなら、この柔道教室に通い初めて、彼女に恋に落ちたなどという話も見られたということだ。

俺はうじうじと考え始めたが、柔道の練習が始まると、なんだかもう気持ちがさっぱりした。もういいや、なるようになれという気持ちだった。練習後に彼女をまた昼飯に誘おうと思った。色々気にしてうじうじしているより、こちらから話しかけて何も気にしていないふうに振舞おうと思った。

体育館の出口で待っていると、彼女が着替えて出てきた。いつものようにTシャツにジーンズで飾り気がなかったが、きれいだった。彼女が俺のいる出口に近づいて歩いてきた。彼女に話しかけようとした矢先、俺の前にいた若い体格の良い男が、彼女に近づいていき手を挙げた。彼女は笑顔になった。

俺は一瞬で悟り、硬直した。あれは彼氏に違いないと。俺は、その場からすぐに離れることもできたのかもしれないが、動かなかった。こそこそ逃げるようなことはしたくなかったと言えば、かっこつけることになるかもしれない。ただ単に緊張と硬直でなんとなく体が動かなかっただけかもしれない。

彼女と男は目と鼻の先にいて、彼女はすぐに俺に気が付いて、笑顔で言った。
「佐崎さん」
彼女がそう言うと、男はこちらを見た。そして二人で近づいて、俺に話しかけてきた。

男「こんにちは。」
俺「こんにちは。」
俺はそう返すので精一杯だった。男は身長が180cmを越え、おそらく184、5cmくらいあるのではないか。そして柔道をやっていたということがぴったりくる良い体格だった。といっても太っているわけではない。つまりマッチョ系だ。色が黒く、彫が深い。黒々とした量の多い髪の毛が自然に逆立っている。眉毛の太く目がぎょろっとしている。これは男から見てもイケメソだ。乾杯。

俺は情けないかな、挨拶だけすると、視線を無意識に逸らしてしまった。すぐに視線を男の目線に戻したが、男は気づいただろう。ほんとうに情けない。男は笑顔でこちらを見ていた。

次回に続きます

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