【M男の欲望】第11話「郁男の禁欲0日目(連続リセット)」

愛の小説

0日目連続リセット

あれから1週間くらい経っただろうか。連絡もせずに仕事を休み、真っ暗に閉め切った部屋で毎日ほぼ自慰だけをしていた。快感などもうほとんどなかった。亀頭の薄皮が破れて血が滲む。毎度、一滴か二滴だけの射精をした後に、陰茎の深部にも、睾丸にも強い痛みが走った。疲れ果て、やっと眠りにつくと、自慰をしている夢で目覚め、夜中便所に行くと、鏡に映る自分がミイラに見えた。それでも自慰をやめられなかった。画面の前で自慰に耽っていなければ、逃げることができなかった。

どうにも腹が減ると、夜に紛れて食料と薬を求めて外に出る。誰とも目を合わさぬよう、飯を腹に詰められるだけ詰めると、味わった勝利の感覚を思い出し、パチンコ屋に入る。当たりがきた時の感覚は自慰の興奮に似ていた。

職場から電話が何度もあったが、全て無視した。会社にも禁欲中の気持ちにも、もう戻れない。いや、もともと戻るところなどない。会社には居場所などないし、禁欲中に感じたことなど、何もかも単なる思い込みだ。今日も朝まで徹夜で自慰をするしか、もう戻るところがなかった。

今日も朝方電話があった。誰からの電話か確認もせずに、着信を切った。ネット上で刺激を求めて彷徨っているところを、電話などに邪魔されたくなかった。電話の音を切り、再び電脳世界の徘徊と陰茎さすりに没頭した。眠気を堪えて、寸止めを繰り返したのち射精し、しばらく茫然とする。片付けもせずに、その場で横になると、近くに投げ置いた電話がぼうっと光っている。手を伸ばすのさえ億劫だったが、電話を確認すると母からの着信だった。朝から母が電話をしてくるということは、今日は日曜だったかと、靄のかかった頭で考える。先日の長電話が、母にとっても良い時間だったのだろう、それで今日も電話をしてきたのだろうと思う。母と前回電話したのが随分前のことに感じた。あの頃の気力、充実感、希望は一体どこへ消えたのか。嘘は精液とともに霧散したのだ。少し眠れば、母との電話で明るく振舞う気力も湧くかもしれぬ。電話の電源を切り、そんなことを考えているうち、床に零れた精液と眠りの泥にぬるぬると沈んでいった。

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