井上靖 『北の海 』が大好きだ

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青春のときめき、せつなさ、胸の締め付けられる思い、これからの人生への密かなる期待。

作中、大したことは何も起きない。ほのぼのとした雰囲気が作品全体を通じて流れる。だのになぜ。青春時代に感じるいろんな感情がこの作品にぎゅっと詰まってる。

文学とはなんであるか、文章による芸術である。文芸。小説家の力量を感じる作品だ。

読後、良い音楽を聴いた時のような、旧友と再会し共に運動したような、己の青春時代を天から覗くような、なんとも言えぬ感情を味わうことだろう。

郷愁、旅情。人生が旅であることを感じる。

なんて素敵な作品なんだ。もう何十回と読んでいる。

青春をこれから迎えるひとも、

青春真っ只中のひとにも、

青春を終えたひとにも、

最高の本である。この本片手に金沢の街を歩きたくなること間違いなし。今も、洪作、鳶、杉戸、蓮見、大天井、みんな金沢の町を歩いてる。

音楽とともに読むのもいい。

井上靖の詩に、「流星」というものがある。

一条の青光をひらめかし忽焉とかき消えたその星の孤独な所行ほど、強く私の青春の魂をゆり動かし」、「ひとり恒星群から脱落し、天体を落下する星というものの終焉のおどろくベき清潔さ」

その詩に書かれた流星のごとき美しい作品である。

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