運命の出会い。千年越しの愛。

弱い男の恋愛論

この世に運命の出会いなど存在しない。愛は肉欲から始まり、生活となる。そんな考え方も分かる。

だが、運命の出会いを信じたくなる瞬間が誰しもあるだろう。

俺もそんな経験をしたことがある。俯き佇むその姿を遠くから見て、見たことがあると思った。夢だったか、自分の頭の中だったか、その人が自分に向かって微笑む写像を見たことがあった。

はじめましてと握手をしようとした瞬間に指と指が絡まり、知っている性器と触れ合ったような艶かしくも懐かしい感覚を覚えた。

知っている。あなたと会うことは知っていた。あなたのことは知っていた。音楽を聴いて泣きそうになるような、そんな感情が心を震わす。

握手をした瞬間、彼女の伏し目がちな顔が上がり、視線があった。恥ずかしそうな笑顔がこちらに向かって仄かに紅潮していた。

ふと彼女の頰を見るとえくぼが一つ。彼女が俺のために、冷たい水の流れる暗い川で、俺と再び出会うために、千年もの間待っていてくれたことを知った。

ありがとう。

コメント