警察官小説(刑事モノではない)

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【最終話】警察小説・Kiss the Rain 第13話 春

《 春 》 早春の珍しく暖かな日、島田は警視庁機動隊の放水作業に参加していた。島田は昇任し、2年半程前から機動隊に勤務していた。雲一つない、突き抜けるような青い空に海からの潮風が吹きこむ。その青い空に、太く白い一線を描いて大量の水が放...
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【警察小説・Kiss the Rain】第12話 冬②

それは、12月の彼の誕生日だった。その日島田は、彼女をレイプした。 その日、教会で皆が集まり長い時間を過ごした後、彼女は島田のところに来て、 「今日、これから時間ある? また少し話したいな」と言った。こんな日に彼女は伊藤と何か予...
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【警察小説・Kiss the Rain】第11話 冬①

《 冬 》 12月に入って辺りはめっきり冷えた。夜中、警ら中に外で吐く息は去年と変わらず白く、凍える島田の思考回路をさらに霞ませた。仕事の傍ら島田は彼女とより頻繁に会うようになっていた。彼女に返事をもらって以来、一度何となく疎遠になり...
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【警察小説・Kiss the Rain】第10話 秋②

どん、どん、どん、どん、どん 大袈裟な和太鼓の音が響き、署の柔剣道場は紅白の垂れ幕で飾られている。夏に予定されていたはずの柔剣道大会が漸く11月になって行われたのだ。署員精励のためのイベントであったはずが、日程が流されるうちに、その目...
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【警察小説・Kiss the Rain】第9話 秋①

《 秋 》 島田は自分の気持ちを彼女に伝えた。10月の静かな夜だった。図書館の前の、街灯がほのかに照らす、背の低い緑に囲まれた細い小道で、島田は彼女と向い合う。 焦るつもりはなかった。彼女と会って半年が経ち、島田は彼女の友人とな...
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【警察小説・Kiss the Rain】第8話 夏③

夏の終わり、9月半ば、小学校運動会の日を思い出すようなカラっとした清々しい晴天の日、島田は久しぶりに死体を触った。お昼2時頃、普段勤務には就かない駅前の交番の中で、気持ちの良い陽射しを感じながら島田は出前の食事を食べていた。麺を矢次早にすす...
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【警察小説・Kiss the Rain】第7話 夏②

涙が溢れ出し、次から次へと流れ落ちた。暑い夏の夜の教会で、島田は泣いた。理由も分からず、涙が溢れ出した。膝の上で固く握る手の甲に、大きな涙の滴がいくつもこぼれおちる。 その日、島田は教会で初めて祈り、皆と一緒に歌った。教会に通い4か月...
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【警察小説・Kiss the Rain】第6話 夏①

《 夏 》 仕事と自慰と教会と柔道を繰り返し、季節は春から夏へ移っていった。毎週、土曜夜の教会は10代、20代の若者で埋まった。島田は何度か教会に通った後知ったが、若い牧師の提案で、土曜夜の教会はその対象を若者にしているとのことだった...
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【警察小説・Kiss the Rain】第5話 春③

稽古後、部屋に戻りしばらく島田はうとうとすると、教会に向け昼過ぎに寮を出発した。4月の青い空に白い雲。暖かい、いや暑いような陽気に自然と気分は高揚した。近くのちょっとした街に出て、なんとなく一通り歩き回る。すれ違う女性に、美人やセクシーな人...
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【警察小説・Kiss the Rain】第4話 春②

その出来事があって、彼は教会に行ってみようかという気になった。教会などという場所には今まで一度も入ったことはなく、かんばしい具体的なイメージも島田にはなかった。自分とは相容れぬ清廉な場所かもしれぬし、はたまた偽善者、弱者、胡散臭い者どもの集...