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【最終話・青春スポーツ小説】「この世に女はいないと思え」第27話

 ――荒藤、見てろ。俺は能書きチビじゃない。―― 春也はベンチにだらりと座る荒藤を遠くから睨んで、心の中でそう念じると、サイドラインから勢いよくフィールドに飛び出して行った。フィールドでは、荒藤が抜けた後のディフェンスチームが自陣深く、や...
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【青春スポーツ小説】「この世に女はいないと思え」第26話

2年前、ドアを開けなくても、春也が居留守を使うようになっても、部屋の中に春也がいると決めつけて、荒藤は薄い木製のドア越しに、毎回春也を罵った。時にふと 「すまん、言い過ぎた。悪かった。まあ練習来いよ。1回顔出してみれば、何もなかったように...
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【青春スポーツ小説】「この世に女はいないと思え」第25話

(九)  背番号18を付けた荒藤が、砂埃をあげるフィールドの中で不審に徘徊するのを春也はじっと見ていた。晩秋の日差しが照らす土のグラウンドで、乾燥した土が選手達のスパイクで駆られて砂ぼこりとなり、選手達を消しては浮かび上がらせていた。きび...
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【青春スポーツ小説】「この世に女はいないと思え」第24話

(八)  あいつはそうやって部活を辞めていったんだ。荒藤ははっきりしない頭で、春也のことを考えていた。大事な試合中になぜ春也のことが頭に浮かぶのか分からなかったが、先ほど、不本意な形で交代を指示されてサイドラインに戻ってきてから、春也のこ...
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【青春スポーツ小説】「この世に女はいないと思え」第23話

「次はいけよ。」 体の大きな4年の選手にそう言われ、背中を思い切り叩かれると、春也はその場でよろりと態勢を崩しそうになった。チームの一番後ろで構えると、試合開始時より大分傾いた太陽に顔を照らされた。プレーが始まると、味方選手達が一斉に春也...
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【青春スポーツ小説】「この世に女はいないと思え」第22話

(七)  今度の試合に向けて、春也は焦っていた。というのも、合宿が終わってから、体がどうにも思うように動かなかった。合宿後の一週間は、おそらく溜まった疲れが、どっと出ているだけで、じきに合宿の時と同じように体も軽くなるだろうと楽観的に考え...
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【青春スポーツ小説】「この世に女はいないと思え」第21話

荒藤の部屋は、成田の部屋とは比べものにならぬほど散らかっていた。6畳ワンルームの部屋に、料理した後のフライパン、皿、果物の皮、教科書、鼻をかんで丸めたティッシュ、脱いだままの服、練習着、あらゆるものが床に散乱しており、いつか春也も手伝って床...
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【青春スポーツ小説】「この世に女はいないと思え」第20話

花火が終わり、3人揃ってバスで大学近くの住宅街まで戻って来ると、 「まだ遅くないし、ちょっと飲みにいかない?合宿も終わったし、たまにはいいよね。」 と成田が言った。これからどうやって早紀達を誘おうかと春也は考えていたところだったので、成...
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【青春スポーツ小説】「この世に女はいないと思え」第19話

バスを降りると、花火大会の会場である犀川下流の河原まで歩いた。辺りはすっかり暗くなっており、花火が上がり始まるまでまだ30分以上あったが、花火大会へ出てきた人達で道はごった返していた。道の両脇には多くの出店が並び、浴衣姿の若い男女などが食べ...
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【青春スポーツ小説】「この世に女はいないと思え」第18話

土曜日、練習が午前中になったことで、午後3時にはミーティングを含めて全て終了し、部員達は解放された。更衣室のシャワー室でいつもより心なしか念入りに体を洗って出ると、多くの部員が既に帰るところで、珍しく自由になった土曜の午後をどう過ごすか、楽...